
『アレルギー性結膜炎』治療Q&A
医療職の方へ
監修:東京女子医科大学医学部眼科 助教授 高村 悦子
| Q1:ドライアイがスギ花粉によるアレルギー性結膜炎に及ぼす影響は? |
|
A1:現在、ドライアイに悩む人は全国に約1000万人存在するのではないかといわれています。ドライアイの人は涙液クリアランスが低下しているケースが多いので、涙で異物を洗い流す作用が期待できず、抗原が結膜嚢に停滞してしまうためにスギ花粉症になりやすいのではないかと考えられます。ドライアイの人がスギ花粉症によるアレルギー性結膜炎になった場合、抗原を洗い流すという意味で人工涙液の頻回点眼も有効ですが、抗アレルギー薬との併用が有効です。ただ、ドライアイの人には涙液が少ないため、点眼薬に含まれる防腐剤(塩化ベンザルコニウム等)の蓄積による角膜障害の可能性も考えられます。このようにドライアイでは、それ自体の角膜障害と防腐剤による角膜障害が重なり合うため、防腐剤を含んだ点眼液の使用は避けたほうがいいでしょう。抗アレルギー点眼液の中でも防腐剤を含有していない薬剤がありますので、ドライアイとアレルギー性結膜炎を合併しているような患者さんの治療に有用と考えます。 |
| Q2:掻痒感など自覚症状が強い患者さんの治療は、ステロイド点眼薬などファーストチョイスにしていいのですか? |
|
A2:重症例ではステロイド点眼液を使うことがあります。まず、抗アレルギー点眼液を最初に使用します。ステロイド点眼液には眼圧上昇など重篤な副作用もありますから、必要最小限にすべきです。ステロイドを使用する場合は、重症度にもよりますが、0.1%フルオロメトロンなど低濃度のものから用います。特に小児の場合は、眼圧が上がりやすいので、より注意が必要です。最終的には、抗アレルギー点眼薬による継続治療がいいと思います。 |
| Q3:ステロイド点眼薬と抗アレルギー点眼薬を併用する場合、どちらが先で、どのくらい間隔をあければいいのでしょうか? |
| A3:どちらが先でも構いません。しかし、続けて点眼する場合、最初に点眼した薬剤が眼の表面から流れ出してしまい効果が少なくなります。また、点眼薬が混ざり合って配合変化を起こすことも考えられます。そのため、2種類以上の点眼薬を続けて使用する場合、少なくとも5分間以上の間隔をおいて使用する必要があります。 |
| Q4:スギ花粉症シーズン前に患者さんのケアをしたいのですが? |
|
A4:今までにスギ花粉によるアレルギー性結膜炎と診断した患者さんには、スギ花粉の飛散がはじまる2〜4週間前から点眼を開始する初期療法が有効です。特に安全性が高いとされるクロモグリク酸ナトリウム等の抗アレルギー点眼薬での治療がすすめられます。季節前から来院する患者さんは多くないので、ハガキなどで連絡よけいにをして来院を促すこともひとつの方法といえます。また、看護婦さんや調剤薬局の薬剤師さんにもご協力をいただき、同様の説明をしてもらうといいでしょう。 |
| Q5:スギ花粉を回避するための指導ポイントは? |
|
A5:まず、スギ花粉の場合、除去は難しいので回避対策を具体的に説明しましょう。例えば、外出時にメガネやゴーグルを使用すると眼の表面への花粉を回避することができます。防御カバーの有無にかかわらず、結膜に接触するスギ花粉数は約1/3になるため、メガネを使用するだけでも、かなり予防効果は高くなります。可能であれば、コンタクトレンズ装用者へは、スギ花粉症シーズンだけでもメガネに変えるよう指導しましょう。どうしてもコンタクトレンズを装用する場合は、防腐剤無添加の人工涙液で洗眼させましょう。また、マスクを少し湿らせて使用すれば、鼻炎に対しかなりの予防効果が得られます。スギ花粉の回避に関しては、看護婦さんや調剤薬局の薬剤師さんからも説明してもらえるようにすると効果的です。 |
| Q6:日常生活で特に注意をうながすことはありますか? |
| A6:薬を指示通り点眼させることが大切です。また、眼がかゆくても、眼をこするとかゆみが増したり角膜を傷つけたり、よけいに悪化してしまうこともあります。かゆくなった時は、冷たいタオルを眼にあてるなどして、眼をこすらないように指導することも大切です。また、点眼時の注意として、点眼する前に手をよく洗い、頭を後ろに傾け、指でまぶたを下にひっぱって1滴滴下するよう指導しましょう。容器の先がまつ毛やまぶたに触れると瓶の中の液が汚染されるので、触れないように指導することも大切でしょう。 【点眼薬の正しい使用法】 1)頭を後ろに傾け、下まぶたを引き、滴下する。 2)汚染を避けるため、容器の先端はまぶたに触れないようにする。 3)2種類以上使用する場合は、5分間くらい間隔をおく。 |